川端税理士事務所|秋葉原

歯科医院は診療所ひとつで経営が最適解?人材不足時代の経営戦略

「歯科医院が軌道にのってきたしそろそろ医療法人化して、2件目の分院を出さないか?」
「ユニットが埋まってきたから、拡大のチャンスだ」

分院展開は、歯科院長にとって一つのステータスであり、成功の証に見えるかもしれません。
しかし、競合がコンビニより多いと言われる現在の歯科業界において、安易な規模拡大は「売上(医業収入)は増えたのに、なぜか手元にキャッシュが残らない」という最悪の結末を招くリスクを孕んでいます。

今回は、歯科特化の税理士の視点から、あえて分院を出さずに「院長現役の1医院集中」を貫くことが、今の時代になぜ最も手残りが多く、幸福度の高い経営になるのか、その実態を解説します。

分院展開が儲からない財務的な裏事情

なぜ分院展開をすると、経営が苦しくなるケースが多いのでしょうか?
理由は、歯科特有の「重い固定費」と「キャッシュフローのタイムラグ」にあります。

  • ユニット投資とリースの壁:分院を出すには、新たな内装工事だけでなく、ユニット、レセコン、デジタルレントゲンやCTなど、数千万円規模の初期投資(または重いリース料)が発生します。
  • 初期のキャッシュ流出:歯科経営はレセプト収入が入るのは「2ヶ月後」です。分院オープン直後の患者数が少ない時期でも、勤務医や歯科衛生士の人件費、材料費、家賃の支払いは先行するため、本院のキャッシュを激しく食いつぶします。
  • 自費率のギャップ:本院の売上を支えているのは「院長個人の技術とブランド(自費率の高さ)」であることがほとんどです。分院を勤務医に任せた途端、一般保険診療ばかりになり、ユニット1台あたりの生産性がガタ落ちするケースは後を絶ちません。

歯科医院の院長を悩ませるスタッフとの温度差

特に現在の歯科医院は、歯科衛生士(DH)の採用倍率が20倍を超えるとも言われる超・売り手市場です。
高額な紹介料を払って雇っても、すぐに辞めてしまうリスクと隣り合わせです。

ここで院長がメンタルを保ち、強固な経営を行うために知っておくべきなのが「10:6の法則」です。

院長であるあなたの医院に対する熱量や責任感を10とした場合、雇われている勤務医や歯科衛生士、受付スタッフの熱量はくらいだと思っておくのが現実的です。

  • 院長:どんなに患者が減っても、診療報酬が下がっても、スタッフの給与やテナント料、リースの返済を「私財を投げ打ってでも支払う」覚悟を持っている。
    診療収入もすべて自分事である高いモチベーション。
  • スタッフ:労働力を提供して給与をもらう立場。極論、医院の経営が傾けば、別の歯科医院に転職すればいい。
    診療収入の増減には興味がなく自分後でないが給与はもらいたいので頑張るという中程度のモチベーション。

歯科医院の院長がスタッフに「なぜもっと自費の提案をしてくれないのか」「なぜ院内美化にこだわらないのか」と高い熱量を求めてしまうと、スタッフはプレッシャーを感じて離職し、院長自身も孤独感に苛まれます。

最初からスタッフは6の力で、ミスなくルーティンを回してくれれば御の字と割り切り、自分が現役バリバリで現場の主導権を握る歯科診療所をひとつ経営に集中することが、最も組織が安定します。

ひとつの歯科診療所への集中がもたらす圧倒的な手残りの最大化

「1医院のまま、自分が現場に立ち続ける」と決めることは、ネガティブな妥協ではなく、最も賢利な財務戦略です。

スタッフで回る仕組みを作り10の果実を総取りする

一般的な保険診療やスケーリング、リコール管理などのルーティンは、マニュアル化してスタッフ(6の力)に任せます。
一方で、インプラント、マインドセットが必要なフルマウスの自費治療、高単価な審美・矯正といった医院の利益率を爆発的に上げる「10」の仕事は、院長自身が担当します。
無駄な分院の維持費や、ドクターの採用紹介料がかからないため、生まれた利益はすべて「院長自身の役員報酬」や「医院の内部留保」に直結します。

診療所はコンパクトに、個人は豊かに

歯科医院を医療法人化して分院を増やすと、組織を大きくするための資金を法人に過剰に残さざるを得なくなります。
しかし、歯科診療所ひとつに集中するのであれば、その必要はありません。
税金と社会保険料のバランスを最適化した役員報酬を設定し、増えた利益を最も効率のいい形で院長個人の資産へ移していくことが可能です。
自分の努力の成果が、ストレートに自分の手残りとして返ってくる心地よさは、ひとつの歯科医院への集中ならではの特権です。

これからの時代は歯科診療所ひとつが最適解

コンビニよりも数が多いと言われる歯科業界において、ブランド力や組織力が追いつかないまま拡大に走る「多分院展開」は、経営の難易度を劇的に上げます。
個人・中小の歯科院長が目指すべきは、「人材採用に振り回されず、院長自身の手が届く範囲で、自費率とリコール率が圧倒的に高い、財務基盤が盤石な1医院」を創り上げることです。

他人に期待して裏切られるコストをゼロにし、自分がコントロールできる範囲で最大の利益を出す。これこそが、これからの歯科医院の勝ちパターンです。

「分院展開をやめて、今の医院の利益を最大化したい」
「1医院のままで、最も手残りが多くなる役員報酬の金額を知りたい」

少しでも気になった院長先生は、ぜひ一度当事務所へご相談ください。
歯科医院のリアルな数字に即した、最適なシミュレーションを提示いたします。

関連記事

記事はありませんでした
上部へスクロール