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社用車を低額で社長や役員へ譲渡してはいけない理由

法人が役員に利益の供与を行えば、法人は節税することができる!となれば、どの法人も簡単に恣意的に利益操作を行うことができてしまいます。

このような恣意的な利益操作が行われないために、役員への利益の供与については、法人税を計算するにあたり、制限が設けられています。

今回は、役員への経済的利益の取り扱いについてご紹介を致します。

経済的利益の法人税法上の取り扱い

役員に対して経済的利益を供与した場合、その供与が継続的に行われ経済的利益の額が毎月おおむね一定であるものは定期同額給与に該当し、損金の額に算入されますが、その他のものは定額同額給与に該当せず、損金の額に算入されません。

損金の額に算入されない、ということは、法人が経済的利益を役員へ供与しても、その供与は法人税を減額することのできる費用とは認められず、節税効果が無い、ということと同意です。

また、役員に対する経済的利益の額が不相当に高額である場合や法人が事実を隠蔽しまたは仮装して経理することにより、その役員に対して供与した経済的利益の額も損金の額に算入されません。

経済的利益とは

役員報酬は、一般的には金銭によって支給を行いますが、金銭以外の債務の免除による利益やその他の経済的な利益の供与が行われた場合には、その供与の相当額も役員報酬に含まれ、この金銭以外の利益を経済的利益といいます。

役員報酬は、定期同額給与、事前確定届出給与、業績連動給与のいずれかに該当をする場合のみ、損金の額に算入することができます。

経済的利益は役員報酬に含まれ損金の額に算入されますが、上記のように、これが定期同額給与に該当しない場合は、損金の額に算入されません。

経済的利益とは、法人の行為によって実質的にその役員に対して給与を支給したことと同様の経済的効果をもたらすものであり、具体的には下記のものを挙げることができます。

①資産を贈与した場合におけるその資産の時価

②資産を時価より低額で譲渡した場合における時価と譲渡価額との差額

③債権を放棄しまたは免除した場合における債権の放棄額等

④無償または低額で居住用土地または家屋の提供をした場合における通常取得すべき賃貸料の額と実際徴収した賃貸料の額との差額

⑤無利息または低率で金銭の貸付けをした場合における通常取得すべき利率により計算した利息の額と実際徴収した利息の額との差額

⑥役員を被保険者および保険金受取人とする生命保険契約の保険料の額の全部または一部を負担した場合におけるその負担した保険料の額の負担

例えば、社用車として使用をしていた、簿価150万円で時価100万円の車を、役員に50万円で譲渡した場合には、時価と譲渡価額の差額である50万円は上記②の役員に対する経済的利益に該当をしますが、毎月行われる経済的利益の供与では無いため、定期同額給与に該当をせず、損金の額に算入することができません。

一方で、同様の社用車として使用をしていた、簿価150万円で時価100万円の車を、役員では無く、中古車買い取り業者に50万円で譲渡した場合には、簿価と譲渡価額の差額である100万円を、固定資産売却損として、損金の額に算入することができます。

また、定期同額給与に該当をしない経済的利益の供与は、法人税の節税効果が無いことのみならず、その供与を受けた役員に対しても、金銭で支給を受けた役員報酬と同様に、所得税の課税が行われることにも注意が必要です。

3まとめ

このように、役員に対して経済的利益の供与を行った場合、その経済的利益の供与が定期同額給与に該当をしない場合は、法人税の節税効果がありません。法人が供与したものの全てが、法人税法上の損金と認めるとは限らないことに注意が必要です。

法人税の節税についてお悩みの場合は、お気軽にご相談ください。

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