節税したはずが経費にならない!? 決算ギリギリの買い物に潜む3つの罠

「節税のために決算月にまとめて買い物をしたのに、税理士から“これは経費になりません”と言われた…」
そんな経験、ありませんか?
決算が近くなって利益がでていると多くの会社様で備品などを前倒しで購入することが多くあります。
それ自体は悪いことではなく経費にもなるのですが、購入時期や購入するものによっては経費にならないことが多くあります。
今回はその理由と具体例をわかりやすく解説します。
目次 ▲
経費にならない主なケース3選
① 在庫になるもの(仕入れ・商品・材料など)
ポイント:未販売の分は棚卸資産として計上される
例:
- 雑貨店が3月29日に大量に仕入れた商品
- 飲食店が3月30日に買い込んだ食品材料
→ このうち決算日時点で売れていない分・使っていない分は「在庫(棚卸資産)」として処理され、経費にはならず、資産計上されます。
解説:
売れたとき・使ったときに費用になります。
売れたもの→売上、売ったもの→売上原価という対応関係が必要となりますので商品は買っても経費にはなりません。
仕入れた時点ではまだ“投資段階”という考え方です。
ただし、商品自体が会社に到着していれば「消費税は到着」をもって認識しますので消費税分は納税が少なくなることがあります。
到着していることは必須です。
② 固定資産(高額な備品・設備など)
ポイント:10万円以上は“経費ではなく資産扱い”
例:
- 美容院が3月31日に買った20万円のシャンプー台
- デザイン事務所が期末に購入したMacBook(25万円)
→ 一括で経費計上はできず、「固定資産」として減価償却が必要です。
解説:
高額なものは一括で経費になるのではなく減価償却によって数年にわたって経費となります。
月数計算になるので決算月に購入すると1月分だけになるため数万円とか数千円くらいしか経費にならないことも多くあります。
ただ、こちらも先ほどと同様で商品の引き渡しが完了していれば消費税の納税は少なくなる可能性があります。
- 10万円未満 → 全額経費可能
- 10〜20万円 → 中小企業なら一括償却資産の選択あり
- 20万円以上 → 原則、数年かけて費用化(減価償却)
③ 商品が届いていない(未着品)
ポイント:使用可能な状態になっていないとダメ
例:
- 決算3月で3月28日に注文・支払い済みの機械が、4月5日到着
- Amazonで買ったオフィスチェアが期末に「発送準備中」
→ 物が届いていない・使用可能になっていない場合、その期の経費になりません。
解説:
商品や物は会社へ到着(引渡し)が完了して初めて経費として認識可能です。
まだ到着していないものは経費になりません。
決算日にアマゾンで大量購入しても翌日配送だと経費にならないということですね。
また、先ほど2点と異なり、こちらについては到着していないため消費税の納税も少なくなりません。
ただの前渡金として取り扱うということです。
では、どんな支出なら決算ギリギリでも経費になるの?
- 電気代や通信費などのサービス利用料
- 旅費や接待などのすでに実施された活動
- 10万円未満の消耗品や文具など
など、その期中に「使った」「提供された」ことが明確なものです。
まとめ~節税のつもりが税金繰り延べに!?
以上のように決算間際の駆け込み購入には落とし穴があります。
誤解を恐れずイメージでとらえますと以下のようになります。
①引渡しが完了していると消費税は少なくなる
②固定資産となると経費になる金額が少ない
③消耗品等到着していれば経費になる
といったイメージです。
経費にしたい場合は「いつ届くか」「いつ使えるか」「いくらかかるか」に注意して、税理士に事前相談するのが安心ですね。