動物病院の領収書は医療費控除の対象になる?

ペットも家族の一員。大切な命を守るために支払った医療費は当然に医療費控除になる・・・
と思ってしまうかもしれません。
しかし、結論から言えば、動物病院の治療費は医療費控除の対象にはなりません。
この記事では、なぜ動物病院の費用が対象外なのか、そして医療費控除の正しい理解について、
わかりやすく解説していきます。
そもそも医療費控除とは?
医療費控除の制度について簡単に説明します。
医療費控除の概要
医療費控除とは、1年間に自分や家族のために支払った医療費が一定額を超えた場合に、
所得からその分を差し引いて税金を軽減できる制度です。
控除の対象になる金額
以下の式で計算されます:
(実際に支払った医療費の合計額 - 保険金などで補てんされる金額)- 10万円
※総所得金額が200万円未満の人は、その5%が基準
例えば、年間で30万円の医療費を支払い、うち保険で10万円が補てんされた場合、
控除額は「30万円 − 10万円 − 10万円 = 10万円」となります。
対象となる医療費の範囲
- 医師・歯科医師による治療費
- 処方薬の購入費
- 通院に必要な交通費(公共交通機関)
- 入院費、手術費、出産費用 など
ペットの医療費は医療費控除の対象?
本題に入ります。結論は冒頭でもお伝えした通り、
動物病院の費用は、医療費控除の対象になりません。
理由は大きく3つあります。
動物に対する医療費が医療費控除対象にならない3つの理由
理由①:医療費控除は「人間の医療費」に限られている
医療費控除の対象となるのは、「納税者本人または生計を一にする配偶者・親族のために支払った医療費」に限られます。
つまり、対象は“人間”限定であり、ペット(犬・猫など)に対する支出は法律上含まれません。
理由②:ペットは「家族」ではあっても、法的には「物」
ペットは大切な家族の一員と感じる方も多いでしょうが、法律上は「物(動産)」として扱われます。
そのため、税務上の「生計を一にする親族」には該当しません。
「家族の一員」であることと「医療費控除の対象になる家族」であることは、全くの別問題です。
理由③:獣医師の行為は「人の治療」ではない
医療費控除の対象となる治療費には、「医師または歯科医師による治療」が求められます。
一方、獣医師は「人」ではなく「動物」の診療に従事する資格者であり、
その診療行為自体が対象外と明確にされています。
補足:例外的に認められるケースは?
動物に関する費用でも、例外的に税法上の控除対象となるケースがあります。たとえば、
- 盲導犬や介助犬などの補助犬に関する費用
障害者が使用する補助犬の訓練費・維持費の一部は、控除の対象とされることがあります。
ただしこれも厳しい要件があり、あくまで人間の生活補助を目的とした場合のみであり、通常のペットの通院や治療費には当てはまりません。
基本的にはならないと思ってください。
まとめ:動物病院の領収書は、医療費控除では使えません
- 医療費控除は人間のための医療費に限定される
- ペットは法的には控除対象の「家族」ではない
- 獣医師による治療は「人の治療」ではない
したがって、動物病院の費用は医療費控除の対象外です。
どれだけ高額であっても、どれだけ「家族」であっても、制度上は「対象外」なのです。
一緒にくらす動物は家族と同じ存在ですが、法律上はあくまで「物」という扱いになっています。
そのため医療費をはじめとした各種控除などはすべて使うことができません。
また、医療費控除以外でペットに関するものが事業の経費にならないかといった相談も受けますが、基本的にはなりません。
番犬をしているという主張もたまに受けますがダメです。
確定申告においては、日常生活では当然だと思っていたことがダメなことが多くあります。
ご自身で申告される際は一度確認してからするのが良いでしょう。