第4回:動物病院の薬品棚卸と経理処理の注意点

動物病院では、薬品やワクチン、消耗品などを多く扱います。これらは仕入れた時点で経費になるわけではなく、決算時に棚卸を行い在庫を計上する必要があります。適切な棚卸と経理処理を行わないと、利益や税額に大きな影響を与えるため注意が必要です。
なぜ薬品の棚卸が必要なのか?
薬品やワクチンを仕入れたとき、会計上は「仕入高」として処理します。しかし、使い切れていない分をそのまま経費にすると、実際以上に費用が大きくなってしまいます。
そのため、決算時に残っている在庫を計上し、費用を正しく調整する必要があります。
棚卸の対象になるもの
動物病院の棚卸対象は以下の通りです。
- 薬品・ワクチン
- 麻酔薬・注射薬
- フィラリア予防薬・ノミダニ予防薬
- 消耗品(検査キットなど)
※開封済みでも使用可能なものは棚卸対象に含めます。
棚卸のやり方
棚卸の実務は次の流れで行います。
- 在庫リストを作成
→ 薬品名・数量・単価を記録。 - 現物を数える
→ 有効期限切れや破損品は除外。 - 評価額を計算
→ 仕入単価ベースで計算するのが原則。 - 会計に反映
→ 決算時に「棚卸資産」として計上。
廃棄・期限切れ薬品の処理
動物病院では薬品の使用期限管理も重要です。期限切れの薬品は、廃棄証明を残して処理するのが望ましいです。
証憑がないと経費として否認されるリスクがあるため、廃棄時は写真や廃棄記録を残すようにしましょう。
経営への影響
棚卸は「数字合わせの作業」ではなく、経営管理にも役立ちます。
- 在庫過多を防ぐ → キャッシュフロー改善
- 使用状況の把握 → 無駄な仕入れを抑制
- 適正在庫の維持 → 在庫切れによる診療トラブルを防ぐ
まとめ
動物病院における薬品の棚卸と経理処理は、正確な決算・申告のためだけでなく、経営の健全性を守るためにも欠かせません。
「薬品の在庫管理=経営管理」 という意識を持ち、会計と現場の両面で棚卸を徹底していくことが大切です。