交際費ってどんなもの?
個人事業主や法人の節税策として、経費を増やすことが一般的に考えられます。
経費項目として「交際費」が挙げられ、この交際費は取引先や会社関係者の方と円滑に事業を遂行していくうえで必要な経費とされます。
新型コロナウイルス感染拡大防止のために、居酒屋などの飲食店は営業時間の短縮を強いられてしまい、日本国民はこれまでと比べて飲食店を利用する機会が減少傾向になっておりましたが、新型コロナウィルスの終息により飲食費も増加傾向にあります。
ここで改めて交際費について確認しておくことが大切です。
交際費とは
交際費とは、「交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するもの」と定義されます。
上記より、交際費とは取引先などの会社関係者に対する飲食代などの接待費や、お中元・お歳暮などの贈答品費を言います。
交際費の範囲
交際費は上述した通り、取引先との飲食代などが該当します。
ただし、下記内容のものについては交際費には該当しません。
- 専ら従業員の慰安のために行われる運動会、演芸会、旅行などのために通常要する費用
- 一人当たりの金額が5,000円以下の取引先との飲食費
なお、この規定は次の事項を記載した書類を保存している場合に限り適用されます。
①飲食などのあった年月日
②飲食などに参加した得意先、仕入先その他事業に関係のある者等の氏名または名称およびその関係
③飲食などに参加した者の数
④その飲食などに要した費用の額、飲食店の名称および所在地(店舗がない等の理由で名称または所在地が明らかでないときは、領収書等に記載された支払先の氏名または名称、住所等)
⑤その他飲食などに要した費用であることを明らかにするために必要な事項
- カレンダー、手帳、扇子、うちわ、手ぬぐいその他これらに類する物品を贈与するために通常要する費用
- 会議に関連して、茶菓、弁当その他これらに類する飲食物を供与するために通常要する費用
- 新聞や雑誌、放送番組で使用するための取材時に必要となる費用
これらの支払いである場合は交際費には該当せずに福利厚生費や会議費、広告宣伝費などの勘定科目を使用する事が可能となります。
交際費に該当した場合、後述するように無制限に経費として計上することは出来ません。
具体的に交際費について、いくらまで経費計上することが出来るか解説していきます。
どこまで経費にできるの?(交際費の損金算入限度額)
日本で初めて交際費の制度が創設されたのは昭和29年になります。
昭和29年当時の経済情勢は好況であり交際費の過剰な支出が目立っておりました。
当時は「社用族」という言葉も生まれた時代であり、社用族とは会社のお金で飲食や遊興する人のことを指します。
このように交際費の濫費が当時は大変目立っていたことから、国としては交際費を無制限に経費として認めてしまうと企業の資本蓄積がなかなか出来ないため、交際費に一定の制限を設けることとしました。
以下、具体的にどこまで経費として交際費を計上することが出来るか解説していきたいと思います。
まず、交際費は原則として全額が経費として計上する事は出来ません。
ただし、個人事業者の場合には法人とは異なり、交際費に限度額はなく、いくら使っても経費として計上することが出来ます。
一方で、法人の場合には資本金によって経費として計上することが出来る限度額が異なってきます。
・事業年度終了の時における資本金または出資金が1億円以下の法人の場合
年間800万円または接待飲食費の50%のいずれか大きい金額を限度額として交際費を経費として計上することが出来ます。
・事業年度終了の時における資本金または出資金が1億円超の法人の場合
接待飲食費の50%までを交際費として経費に計上することが出来ます。
以上より、交際費を計上する場合、個人事業主と法人によって経費に計上することが出来る金額が異なってきます。
交際費に該当するための条件
交際費は、税務署の調査が入った際には細かい点までチェックされる勘定科目となります。
しかし、仕事に関係する交際費であれば、遠慮せずに交際費として経費計上すべきです。
直接仕事に関係した交際費だけでなく、間接的に関係する費用も含めて問題ありません。
飲食などを一緒にすることによって、仕事上、有益な情報を得ることが可能であれば十分に交際費に該当します。
交際費に該当するための条件は、下記内容に該当している場合、交際費として計上が可能になります。
・人と会っている事
・仕事上の会話をしている事
・自分で金銭を支払っている事
上記内容に該当し、領収証などの証憑書類を保管していれば交際費に該当します。
結論
交際費は税務調査の際に調査ポイントになる勘定科目の1つになります。
よって、何でもかんでも交際費として経費計上することは問題になります。
しかし、上述したように仕事に関係したものであれば、遠慮なく経費計上することが節税にもつながってきますので、領収証の保管も忘れずに経費計上することが今後の事業を行う上でも大切なことになってきます。