動物病院がカード決済を導入するときの税務・会計処理で注意すべきポイント

最近では、動物病院でもクレジットカードや電子マネー、QRコード決済など、キャッシュレス対応を求める飼い主さんが増えています。
利便性の高いカード決済ですが、導入にあたっては税務や会計処理の観点から注意点がいくつかあります。
今回は、動物病院がカード決済を導入する際に気をつけておきたい会計処理と税務のポイントをまとめます。
目次 ▲
1.売上の計上タイミングに注意!
●「決済日」ではなく「診療提供日」が原則
カード決済であっても、売上として計上すべきタイミングは 診療・治療などの役務を提供した日です。
たとえ実際の入金が2週間後などであっても、診療や治療を行った日が売上計上日になります。
ですので、特に決算間際の場合などは売上の予測にずれが出ますので注意が必要です。
日報などはカードなど関係なく売上を計上しておくとよいですね。
2.カード手数料の処理方法
●「支払手数料」として経費に計上
たとえば診療費10,000円に対してカード会社から9,700円しか入金されなかった場合、差額の300円は「カード手数料」となります。
診療収入は総額で計上します。特に消費税において簡易課税を採用している場合は消費税の納税額に影響がでますので正しく処理を行う必要があります。
【仕訳例】
コピーする編集する(借方)普通預金 9,700
(借方)支払手数料 300
(貸方)売上高 10,000
3.未収金の扱い
カード決済は「その場でお金が入る」わけではなく、一時的に未収金の状態になります。
●特に月末決済は注意!
月末にカード決済されたものは、当月の売上・未収金として処理し、翌月に入金があった際に未収金を消します。
売上を計上しておいて、入金時に未収金(売掛金)を消すような処理になります。
このあたりの具体的な処理を覚える必要はないと思いますが売上計上日が診療日だという点だけ外さないようにしましょう。
【例:5月31日に診療、カード決済→6月5日に入金】
コピーする編集する5/31
(借方)未収金 10,000
(貸方)売上高 10,000
6/5
(借方)普通預金 9,700
(借方)支払手数料 300
(貸方)未収金 10,000
5.インボイス制度との関係
●カード決済とインボイスは基本的に無関係
カード決済時に発行される「利用明細」はインボイスではありません。
ですので動物病院側では領収書をしっかりと発行する必要がありますので注意が必要です。
病院側が適格請求書発行事業者であれば、診療費にかかる消費税についても正しく仕訳・管理しておく必要があります。
まとめ:カード決済は便利だが、経理処理は丁寧に!
項目 | ポイント |
---|---|
売上計上日 | 役務提供日ベースで処理 |
手数料 | 支払手数料として経費処理 |
入金までの流れ | 一旦「未収金」として管理 |
決済エラー | 未収金扱い+後日消込処理 |
消費税対応 | 適格請求書の保存義務に注意 |
☑ おまけ:カード決済導入のチェックリスト
カード会社の利用については以下のような点を注意しておきましょう
- カード会社との契約書を保管しているか
- 手数料率を把握しているか
- 会計ソフトと連携可能なサービスを選んでいるか
- 利用明細の出力が可能か
- 未収金の管理ルールを定めているか
- 決済エラー時の対応マニュアルがあるか