川端税理士事務所|秋葉原

第3回:動物病院と消費税の注意点

動物病院を開業すると、必ず関わってくるのが消費税です。
「医療は非課税」というイメージを持たれる方も多いのですが、実は動物病院の診療収入は課税売上にあたり、消費税の申告・納税義務が生じます。今回は、動物病院における消費税の仕組みと注意点を解説します。

動物病院の診療収入は課税売上

人間の医療(健康保険診療)は非課税ですが、動物医療は保険制度がなく自由診療のため、原則すべて課税対象です。

  • 診察料、手術料、ワクチン接種料など → 課税売上
  • 薬の販売、フード販売 → 課税売上
  • ペットホテル・トリミング → 課税売上

つまり、ほとんどの売上が課税売上に該当します。

免税事業者の判定

開業当初の売上が少ない場合、消費税の免税事業者になることがあります。

  • 基準:前々年の課税売上高が1,000万円以下
  • 開業初年度は免税になるケースが多い
  • ただし、設立時に資本金1,000万円以上の法人は初年度から課税事業者

インボイス制度の影響

2023年10月から始まったインボイス制度により、取引先(フードメーカー、卸業者など)から「適格請求書発行事業者」登録を求められることがあります。

  • 登録しない場合 → 相手方が仕入税額控除できなくなる
  • 登録する場合 → 課税事業者となり消費税の申告・納税義務が発生

動物病院は取引相手が法人の場合も多く、インボイス登録が求められるケースが増加しています。

簡易課税制度の活用

消費税の計算方法には、実際に仕入税額を控除する「原則課税」と、業種ごとのみなし仕入率を使う「簡易課税」があります。

  • 動物病院はサービス業に分類され、みなし仕入率は 50%
  • 経費割合が少ない場合、簡易課税を選ぶと有利になることも
  • 一方で、医療機器や設備投資が多い開業直後は原則課税の方が有利な場合が多い

まとめ

動物病院の収入は原則すべて課税売上であり、消費税の取り扱いは避けて通れません。
特にインボイス制度の導入により、開業時から課税事業者になるケースも増えています。制度の選択を誤らないためにも、動物病院に詳しい税理士に相談することが重要です。

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