第6回:動物病院の事業承継とM&Aの注意点

動物病院の経営は、院長先生の高齢化や後継者不足により、事業承継やM&Aを検討するケースが増えています。
「親子での承継」と「第三者への譲渡」では、税務上や経営上の注意点が大きく異なります。本記事では、動物病院の事業承継とM&Aにおけるポイントを整理します。
親子・親族への承継
メリット
- 経営理念や患者との関係を引き継ぎやすい
- 院内スタッフの不安が少ない
注意点
- 贈与税・相続税が発生する可能性
- 承継資金(株式や医院資産の評価額)をどう準備するか
- 名義変更手続き(許認可・開業届・社会保険など)が必要
👉 特に相続時の評価額が高額になると、承継する側に大きな税負担がかかるため、事前の資産評価と対策が必須です。
第三者へのM&A
近年、動物病院の譲渡は、法人グループや同業者に引き継がれるケースが増えています。
メリット
- 高額での譲渡が可能な場合がある
- 後継者不在でも事業継続できる
- スタッフや患者を守れる
注意点
- 株式譲渡 or 事業譲渡の形態で税務上の扱いが変わる
- 株式譲渡 → 譲渡所得課税(20%程度)
- 事業譲渡 → 消費税や所得税の影響あり
- 譲渡後も一定期間の勤務を求められる場合がある
承継前に確認すべき財務事項
事業承継やM&Aでは、必ず財務デューデリジェンス(調査)が行われます。
- 過去の決算書の整合性
- 未払残業代や税金の有無
- 棚卸資産(薬品在庫)の正確性
- 患者数や売上の推移
👉 経理が整っていないと、評価額が下がったり、交渉が不利になることもあります。
税務面での注意点
- 譲渡益には所得税・住民税がかかる
- 相続時は相続税評価額が基準になる
- 株価対策(役員報酬・配当の調整など)が有効
まとめ
動物病院の事業承継やM&Aは、**「誰に承継するか」「どのような形で承継するか」**によって最適な方法が変わります。
いずれの場合も、税務・法務・財務の専門家に早めに相談し、計画的に進めることが成功のポイントです。