第3回:ひとり親方と消費税・インボイスは必要?

消費税の基本
ひとり親方は個人事業主にあたりますので、売上高が年間1,000万円を超えると課税事業者となり、消費税を納める義務が生じます。
逆に1,000万円以下の場合は原則「免税事業者」となり、消費税の納税は不要です。
免税事業者の注意点
- 免税事業者であっても、請求書に消費税を上乗せして請求するケースがあります。
- この場合、受け取った消費税分は「益税」となりますが、インボイス制度開始後は注意が必要です。
インボイス制度とは?
2023年10月から始まった適格請求書等保存方式(インボイス制度)では、元請会社が仕入税額控除を受けるために、下請けのひとり親方がインボイス発行事業者であることを求められるケースが増えています。
- インボイス発行事業者になるには、課税事業者の選択届出書を提出しなければならない
- これにより売上1,000万円以下でも消費税の納税義務が発生する
登録すべきかどうか?
- 登録した方がよい場合
- 元請がインボイス発行を必須としている
- 大手建設会社と長期的に取引したい場合
- 登録しなくてもよい場合
- 取引先が免税事業者との取引を許容している
- 個人事業の規模が小さく、消費税の納税負担が重い場合
登録後の実務ポイント
- 消費税の納税資金を確保しておく(預かった消費税を使い込まない)
- 簡易課税制度を検討する(建設業は第3種だか第4種になることも多いので確認が必要)
- 会計ソフトで「課税売上」「課税仕入」をしっかり区分する
まとめ
ひとり親方にとって、インボイス制度は「登録しないと仕事が減るリスク」と「登録すると納税負担が増えるリスク」の両方を考慮する必要があります。
同業者様の状況をみると、ほぼインボイス登録しているのが現状です。
取引先の意向を確認しつつ、自分にとって有利な選択を検討しましょう。
次回は、「青色申告を活用した節税の工夫」について解説します。