川端税理士事務所|秋葉原

法人決算で経費はどこまで認められる?税理士が解説する経費ルールと注意点【決算前必読】

法人決算が近づくと、
「この支出は経費にして大丈夫なのか」
「決算前に購入したものは落とせるのか」
といったご相談を多くいただきます。

法人税の経費(損金)は、「会社のお金で支払ったかどうか」ではなく、
税法上のルールに沿って判断される 点が重要です。

この記事では、法人決算で押さえるべき経費の基本ルールから、
税務調査で否認されやすいポイントまで、実務目線で解説します。

法人決算における経費(損金)の基本ルール

法人税において経費として認められるためには、原則として次の条件を満たす必要があります。

・事業との関連性があること
・当期の費用であること
・内容や金額を客観的に説明できること

領収書がある、会社名義で支払っている、という理由だけでは足りません。
何のための支出なのかを説明できるか が重要な判断基準となります。

法人で経費になりやすいもの・注意が必要なもの

経費として認められやすいもの

・事務所家賃、水道光熱費
・業務用の通信費、システム利用料
・業務に必要な消耗品
・取引先との打合せに伴う飲食代

注意が必要なもの

・社長個人の飲食代、衣服代、私的な旅行費
・家族との食事代
・使途が説明できない現金出金

「グレーだけど一旦経費に入れる」という処理は、
決算後に問題となるケースが少なくありません。

交際費と福利厚生費の違い【決算で間違えやすい】

法人決算で特に判断を誤りやすいのが、交際費と福利厚生費の区分です。

交際費

取引先との接待や贈答にかかる費用で、
税務上は損金算入に制限があります(中小法人には特例あり)。

福利厚生費

従業員全体を対象とした支出で、
忘年会や社員旅行、健康診断などが該当します。
条件を満たせば全額損金算入が可能です。

社長だけ、特定の人だけを対象としていないかが、
判断の大きなポイントになります。

社長・役員関連の経費は特に注意が必要

役員に関する支出は、税務調査で必ず確認されます。

否認されやすい例としては、
・私的な飲食代を会議費や交際費で処理している
・自宅家賃を過大に経費計上している
・実態のない家族給与を支払っている

役員給与や役員賞与は、
決算時に調整できない厳格なルール があるため、特に注意が必要です。

決算前に購入したものは経費にできる?

「決算前に購入すれば節税になる」と考えられがちですが、
次の点を満たしているかが重要です。

・決算期中に使用を開始しているか
・高額なものは減価償却が必要か
・節税目的だけの購入になっていないか

決算日に届いただけで使用していない備品などは、
経費として認められない可能性があります。

税務調査で否認されやすい経費の特徴

税務調査で指摘されやすい経費には共通点があります。

・領収書がない、内容が不明
・私的支出と業務支出が混在している
・毎期不自然に同じ金額が計上されている
・雑費の金額が多すぎる

「説明できない経費は認められない」
これが実務上の大原則です。

法人決算前に確認しておきたいチェックポイント

決算前に、次の点を確認しておくと安心です。

・領収書、請求書は揃っているか
・私的支出が混ざっていないか
・仮払金、未払金の内容は明確か
・高額資産の処理は適切か
・役員関連支出に無理がないか

事前に整理しておくことで、
決算後の修正や税務リスクを大きく減らすことができます。

まとめ

法人決算での経費処理は、
「どこまで経費にできるか」よりも
「税務上きちんと説明できるか」 が重要です。

経費判断に迷う支出がある場合や、
決算前にまとめて処理しようとしている場合は、
早めに整理・確認することをおすすめします。

関連記事

生命保険で節税できるは間違い?...

退職金を支払うことによる節税効...

租税公課とは?分かりやすく解説...

人件費の事例

不動産オーナーは法人化すべき?

上部へスクロール