【第3回】修繕費と資本的支出の違い|不動産賃貸・アパート経営の税務注意点

アパート経営や不動産賃貸業をしていると、建物の修繕やリフォームは避けられません。
ここで悩ましいのが、支出を 「修繕費」として経費にできるのか? それとも 「資本的支出」として資産計上しなければならないのか? という問題です。
処理を間違えると、節税できるはずのものが経費にならなかったり、税務調査で否認されたりするリスクがあります。今回は、不動産オーナーが必ず知っておきたい「修繕費と資本的支出の違い」を整理します。
修繕費とは?
- 建物や設備を 元の状態に戻すための支出
- 経費としてその年に一括で計上できる
- 節税効果が大きい
例
- 外壁のひび割れ補修
- 壊れた給湯器の交換
- 室内クロスや畳の張替え
👉 「維持・原状回復」がキーワード。
資本的支出とは?
- 建物や設備の 価値を高めたり、耐用年数を延ばす支出
- 修繕費とは違い、固定資産として計上し、減価償却で数年に分けて経費化する必要がある
例
- 外壁を塗り替えただけでなく断熱加工を追加
- 和室をフローリングにリフォーム
- 建物全体の耐震補強工事
👉 「価値を高める」「寿命を延ばす」がキーワード。
実務でのグレーゾーン
- 100万円以下の工事や3年以内に繰り返し行う修繕は「修繕費」として認められる可能性が高い
- ただし、同じ外壁工事でも「補修」か「グレードアップ」かで扱いが変わる
- 曖昧な場合は領収書・見積書を残し、処理根拠を説明できるようにしておくことが重要
不動産オーナーへの実務的アドバイス
- 工事内容を具体的に記録
見積書・契約書に「修繕」と明記されていると有利 - 税理士に事前相談
支出の額が大きい場合やリフォームの場合は必須 - 節税を意識した計画修繕
一度に大規模工事をするより、複数年に分けた修繕の方が経費化しやすいケースもある
まとめ
- 修繕費=経費一括計上できる維持・原状回復の支出
- 資本的支出=資産計上が必要なグレードアップ・寿命延長の支出
- グレーゾーンは契約書・見積書などのエビデンスがカギ
- 不動産賃貸・アパート経営では税務上の判断が節税効果に直結する