動物病院の税金で気を付けるべきポイント

動物病院は一般的なサービス業とは異なり、業種特有の経費や売上構造があります。そのため、税務上で注意すべきポイントも独特です。ここでは、動物病院を経営されている方やこれから開業を考えている獣医師の方に向けて、税金面で特に気を付けるべき点を解説します。
目次 ▲
1. 売上・収入の正確な把握
動物病院では現金収入が多く、売上計上漏れが発生しやすい傾向があります。電子カルテやPOSレジを活用し、診療記録と売上の整合性を保ちましょう。保険診療がない分、単価も高くなりやすく、帳簿管理の正確性が求められます。
2. 医薬品や仕入の経費管理
診療に使用する医薬品や消耗品、ペットフードなどの仕入れが多いため、経費の管理が重要です。販売用フードと診療用処方品の区別も明確にしておく必要があります。
3. 往診・車両関連経費の取り扱い
往診車両を業務で使用している場合は、業務使用割合を明確にし、私的利用分との区分を行います。ガソリン代や保険料など、関連費用の記録も忘れずに行いましょう。
4. ペットホテルやトリミングの副業サービス
ペットホテルやトリミングなどのサービスも提供している場合、それぞれの売上区分を明確にします。消費税の計算にも影響するため、診療報酬との線引きをしっかり行いましょう。
5. 消費税の課税区分
動物病院の診療収入はすべて課税売上となるため、課税事業者になるケースが多いです。簡易課税制度を選択する場合は第5種(サービス業)となり、みなし仕入率は50%となります。仕入が多い場合は原則課税を検討すると有利なこともあります。
6. スタッフへの給与・外注費の適正処理
受付やトリマー業務を外注している場合、「外注費」として処理するのか「給与」として処理するのかを判断する必要があります。実態に即した処理を行い、源泉徴収の漏れがないよう注意しましょう。
7. 開業時の設備投資と減価償却
開業時には高額な医療機器や建物などの設備投資が必要になるケースが多く、これらは減価償却資産として処理します。初年度は赤字でも、減価償却費の計上が後々の節税につながる場合があります。
8. 家族従業員がいる場合の処理
家族に手伝ってもらっている場合、青色事業専従者給与として適切に処理するか、扶養控除内に収めるかなど、実態に応じた対応が必要です。不適切な給与処理は否認リスクがあります。
まとめ
動物病院の経営は、診療だけでなく経理や税務にも専門的な対応が求められます。しっかりと管理体制を整えることで、税務リスクを最小限に抑え、経営の安定につながります。税理士と連携し、業種特化のアドバイスを受けることをおすすめします。