【薬剤師の開業支援】調剤薬局を始める前に知っておきたい5つのポイント|税理士が解説

地域の健康を支える調剤薬局。近年は医薬分業の進展や在宅医療の需要増加に伴い、独立・開業を目指す薬剤師の方も増えています。
ただし、開業には多額の資金と煩雑な手続き、そして長期的な経営計画が求められます。今回は「調剤薬局を開設する際に押さえておきたい注意点」について、税理士の視点からわかりやすく解説します。
目次 ▲
1. 開業に必要な主な手続きと許認可
調剤薬局の開設には以下のような手続き・許認可が必要です:
- 薬局開設許可申請(保健所)
- 保険薬局指定申請(地方厚生局)
- 医薬品販売業許可(都道府県)
- 法人設立登記(法人の場合)
保健所の基準は地域ごとに異なる場合があり、開設予定地の保健所に早めに相談することが重要です。
2. 融資を受ける際のポイント
開業に必要な初期費用は1,500万円〜3,000万円程度が一般的です。これには以下の費用が含まれます:
- 店舗内装・設備(調剤室、投薬カウンター、レセコンなど)
- 医薬品の仕入
- 保証金(テナント物件の場合)
- 運転資金(数ヶ月分)
融資を受けるためのコツ:
- 事業計画書は詳細に(売上予測、処方箋枚数、提携先医療機関など)
- 地域の医療ニーズを把握した立地選び
- 自己資金は全体の20%以上あると有利
公的金融機関(日本政策金融公庫や制度融資)を活用するケースが多く、金利も低めです。
3. 法人と個人、どちらが有利?
開業時に「個人事業主」として始めるか、「法人(株式会社や合同会社)」として始めるかは非常に重要な選択です。
比較項目 | 個人事業 | 法人 |
---|---|---|
開業手続き | 比較的簡単 | 登記などが必要 |
記帳義務 | 青色申告で簡易可 | 複式簿記が必須 |
所得課税 | 超過累進税率(最大55%) | 法人税(実効約30%前後) |
節税対策 | 限定的 | 役員報酬・退職金・経費計上が可能 |
社会保険 | 任意(国保+国民年金) | 強制(法人として加入) |
ポイント:
- 利益が一定以上見込める場合は法人の方が有利になるケースが多いです。
- 節税・相続・事業承継まで考えるなら、最初から法人化も視野に入れましょう。
4. 税務・会計まわりの注意点
調剤薬局は消費税の課税・非課税が混在するため、記帳の精度が重要です。
- 調剤報酬は非課税、OTC医薬品や雑貨販売は課税対象
- 適切な区分経理が必要(消費税の簡易課税を選択するかどうかも検討)
- 医療機関との関係も含め、報酬請求・入金の流れの把握が重要
会計ソフトや税理士の導入によって、毎月の経営状況を見える化することが経営の安定につながります。
5. 専門家と一緒に進めることの重要性
薬局開設は一人で抱え込むにはハードルが高い事業です。以下のような専門家と早い段階で連携することをおすすめします:
- 税理士:資金計画、法人化の相談、税務処理
- 行政書士:薬局開設許可や届出
- 社会保険労務士:雇用や労務管理
- 医療系コンサルタント:開業地や動線設計のアドバイス
まとめ
調剤薬局の開設には、許認可・融資・税制・法人化など、多角的な視点が求められます。
「医療に専念したい」という薬剤師さんほど、経営面はプロに任せて効率的に進めるのが得策です。
川端税理士事務所では、調剤薬局の新規開業支援から融資相談、法人設立、税務顧問までトータルサポートを行っております。
ご相談は無料ですので、どうぞお気軽にお問い合わせください。