ワーケーションの費用は経費になるの?税理士が本音で解説します

「ワーケーションって、出張扱いで経費にできるんですか?」
最近、個人事業主の方やフリーランス、経営者の方からよく聞かれる質問です。
結論からハッキリ申し上げます。
✅ 基本、ワーケーションの費用は経費になりません。
「仕事っぽいこともしてたし…」「パソコン持って行ったし…」では、残念ながら税務署には通用しません。
今回は、なぜワーケーションの費用が経費にならないのか?
どうしても経費にしたいなら、どんな証拠・準備が必要なのか?
税理士の目線から、リアルな話をお届けします。
ワーケーションってそもそも何?(復習)
「ワーク(仕事)」+「バケーション(休暇)」=「ワーケーション」。
観光地や実家などに滞在しながら、リモートワークを行うスタイルです。
たとえば:
- 沖縄で1週間 → 午前は海、午後はメール対応
- 軽井沢で3日間 → Zoom会議2本、あとはのんびり
…というような「休暇+ちょっと仕事」が多いのが実態です。
【例】これはNG!経費にできないワーケーション
以下のようなケースは、ほぼ100%経費にできません。
ケース①:家族旅行ついでにメール対応
「家族と沖縄旅行に行ったけど、空いた時間にちょっとZoom会議もしたんで、旅費を全部経費に…」
→ アウトです。
家族分の費用は当然経費になりませんし、「仕事ついで」ではなく「旅行が主目的」と判断されます。
ケース②:個人での作業だけ
「軽井沢の別荘に3日滞在して、請求書の整理やブログ更新をしてました」
→ これもダメ。
「通常の業務」であるなら、自宅でもできる話なので、わざわざ軽井沢に行く必要性がないと見なされます。
【例】これはOKの可能性あり!業務目的が明確なら…
とはいえ、次のようなケースでは部分的に経費として認められる余地があります。
ケース①:現地での商談・視察が主目的
「北海道の取引先を訪問して、新しい店舗の出店予定地を視察。その合間に1泊延ばして観光も」
→ この場合、商談・視察が主目的ならOK。
ただし、延泊した日の宿泊費・食事代などは私的費用となるので按分(あんぶん)が必要です。
ケース②:現地開催のビジネスイベントに参加
「地方で開催された経営セミナーに出席。前後1日をリモートワークに使った」
→ セミナーの参加証、領収書、スケジュールが残っていれば、セミナー参加日とその前後は業務扱いとされる可能性があります。
税務署が見ているのは「目的」と「証拠」
ワーケーションを経費にしたい場合、重要なのは以下の2つです。
① 主目的が“仕事”であること
- 商談、契約、セミナー参加、視察など具体的な業務目的が必要
- 「なんとなく現地で仕事できそうだから」はNG
② 証拠が残っていること
- 日程表、スケジュール
- Zoomのログ、議事録、名刺交換の記録
- 写真(打合せ風景など)
- メールやチャットのやり取りの履歴
ワーケーションと出張の違いは?
ワーケーションと出張は似て非なるものです。
出張は業務命令(もしくは業務のための移動)に基づいており、明確な業務目的と業務上必要な移動があります。
一方、ワーケーションは「旅先でも仕事をする」というスタイルの話であり、移動の主目的が“休暇”であればNGです。
まとめ:ワーケーションの費用、経費にできるかのチェックリスト
チェック項目 | OKなら経費の可能性あり |
---|---|
目的が業務関連か? | ✅ |
スケジュールがあるか? | ✅ |
現地での記録・証拠が残っているか? | ✅ |
プライベートとの線引きが明確か? | ✅ |
【最後に】ワーケーションを“うっかり”経費にすると…
税務調査で「旅行費の経費化」はよく見られる指摘ポイントのひとつです。
証拠がなかったり、業務目的があいまいだと、全額否認+追徴課税になることも。
「これって大丈夫かな?」と少しでも思ったら、早めに専門家に相談しましょう。