法人で株を買うべきか?個人で買うべきか?税理士が徹底解説

株式投資は法人名義が得なのか?それとも個人のままがいいのか?」
経営者や個人投資家の方から、よくいただくご相談です。
結論から言えば、ケースバイケースではありますが、税率・損益通算・損失の繰越期間といった観点から考えると、それぞれ向き不向きがあります。
この記事では、税理士の視点から「法人で株を買う」「個人で株を買う」場合の違いを、わかりやすく整理・比較していきます。
法人と個人での株取引の違い
比較項目 | 個人 | 法人 |
---|---|---|
税率 | 売却益・配当益ともに約20.315% | 法人税率約23〜30%(所得規模により変動) |
経費計上 | 売買手数料程度のみ | 通信費、書籍代、セミナー代など幅広く可能 |
損益通算 | 株の損益間のみ通算可能 | 法人全体の損益と通算可能 |
法人名義での株投資が有利なケース
以下のような場合は、法人で株を購入するのが有利です。
- 会社に内部留保があり、その資金で資産運用したい
- 経費を活用して節税を図りたい(書籍代・PC・セミナーなど)
- 株式投資を事業として本格的に行っている
- 赤字を活かして将来の黒字と通算したい(10年の繰越が可能)
個人名義での株投資が向いているケース
一方、次のような方には個人名義での投資が適しています。
- 少額投資や短期売買を想定している
- 利益をすぐ生活費に回したい(法人は引き出しに課税が伴う)
- 法人を持っていない、または管理が煩雑に感じる
- 経費計上などにはあまりこだわらない
損失の繰越期間が大きな違い
個人投資家が株で損を出した場合、その損失は3年間しか繰り越せません。
しかも、株式などの譲渡益・配当との間でしか通算できません。
一方で法人の場合は、株式の損失も含めて事業全体の損失として扱えるため、他の収益と通算可能。しかも、最大10年間にわたって繰越控除が可能です。
この違いは長期的な資産運用において、非常に大きな意味を持ちます。
法人と個人、どちらで株を買うべきか?まとめ
どちらが有利かは、投資規模・法人の利益水準・資金の使い道によって変わります。
- 節税・経費活用・損失通算を重視するなら「法人」
- シンプルな運用や生活資金への活用を重視するなら「個人」
それぞれのメリット・デメリットを理解したうえで、自分の投資スタイルや事業状況に合わせて判断するのがベストです。
法人資産運用のご相談は川端税理士事務所へ
当事務所では、法人の資産運用・節税スキーム・投資と税の関係についてもご相談を承っております。
- 株式投資にかかる法人税の扱い
- 損失の通算や繰越の管理
- 個人と法人の使い分け戦略
など、状況に応じてアドバイスいたします。お気軽にご相談ください。