社宅を利用して経費にするために必要なこと
自宅が賃貸なら社宅に変えよう!
自宅家賃は個人が支払いを行うことが普通ですが、会社経営者(法人経営者)にの場合は、法人名義で自宅を借りることで、自宅家賃の一部を経費にすることができます。
社宅による節税効果
社宅を利用することによる節税効果は、以下のようになります。
例)自宅家賃20万円の社宅を会社名義で契約して半額の10万円を経費とする。
年間10万円×12=120万円 →法人の経費
法人の税率を30%とすると、36万円分を節税することができます。
社宅の家賃の決め方
社宅は全額が家賃として経費なるわけではない
勘違いしてはいけないのが、会社で社宅(自宅)を契約して借りたとしても、その全額(先ほどの例だと20万円)がすべて社宅として経費にできるというわけではありません。
社宅家賃の一部は役員や従業員が負担しなければいけません。
その負担をゼロとした場合(社宅として経費にできる適正額を超えた部分)は、社宅として経費になるのではなく役員報酬や給与を支給したとみなされ、その金額には所得税と住民税が課税されますから節税効果としては軽微なものになってしまいます。
社宅家賃の決め方
社宅家賃の社宅は税法上3種類に区分され、その種類に応じて賃料相当額の計算方法が異なります。
小規模な住宅、小規模な住宅以外の住宅、豪華住宅の3つがあります。
- 小規模な住宅
▼法定耐用年数が30年以下の建物
床面積が132㎡以下
▼法定耐用年数が30年を超える建物
床面積が99㎡以下
(区分所有の建物は共用部分の床面積をあん分し、専用部分の床面積に加えたところで判定) - 小規模な住宅以外の住宅
その社宅が法人所有の社宅か、法人名義の賃貸住宅を役員へ貸しているのかで、賃料相当額の計算方法が異なります。 - 豪華住宅
床面積が240㎡超
取得価額、支払賃貸料の額、内外装の状況等総合勘案して判定。
なお、床面積が240㎡以下のものであっても、自宅にプール等の設備や役員個人の趣味を反映した設備などがあれば、豪華社宅に該当することがあります。
社宅家賃相当額の計算方法
賃料相当額の計算方法は決まっていますので、それに従って計算します。
役員に貸与する社宅が小規模な住宅である場合
次の(1)から(3)までの合計額が賃貸料相当額になります。
(1)(その年度の建物の固定資産税の課税標準額)×0.2パーセント
(2)12円×(その建物の総床面積(平方メートル)/(3.3平方メートル))
(3)(その年度の敷地の固定資産税の課税標準額)×0.22パーセント
役員に貸与する社宅が小規模な住宅でない場合
役員に貸与する社宅が小規模住宅に該当しない場合には、その社宅が自社所有の社宅か、他から借り受けた住宅等を役員へ貸与しているのかで、賃貸料相当額の算出方法が異なります。
(1)自社所有の社宅の場合
次のイとロの合計額の12分の1が賃貸料相当額になります。
イ (その年度の建物の固定資産税の課税標準額)×12パーセント
ただし、法定耐用年数が30年を超える建物の場合には12パーセントではなく、10パーセントを乗じます。
ロ (その年度の敷地の固定資産税の課税標準額)×6パーセント
(2)他から借り受けた住宅等を貸与する場合
会社が家主に支払う家賃の50パーセントの金額と、上記(1)で算出した賃貸料相当額とのいずれか多い金額が賃貸料相当額になります。
一番多いのは賃料相当額の半分
計算方法は一番多いのは、小規模な住宅等で賃料相当額を家賃の50%にしているケースです。
計算として一番簡便であるとことからこの数字を使うことが非常に多いです。
もちろん、原則的には家賃の50%で税務上問題ないのですが、賃料相当額の計算式に当てはめると、最大で80%程度まで経費にすることができます。
しかしながら、計算過程で使用する固定資産税の評価額等証明書の通知書を取得に手間がかかる点など賃料相当の半額とすることが多いのも事実です。
また、意外に税理士によってはこの方法を知らないこともありますので、気になる場合は税務署や顧問税理士へ聞いてみると良いでしょう。
なお、弊社では両者を説明したうえでお客様に選択いただいています。