所得控除ってなに?
我が国は高齢化社会により、国の財源が減少傾向となっております。
国の財源を確保するためには、国民から税収を上げる必要があり、税金や社会保険料などが年々増加してきております。
このような状況下で、国民一人一人の事情を考慮した対応をしないと貧富の格差が拡大してしまいます。
所得控除とは、個人の事情を汲み取り、状況に応じた税制優遇の事を言います。
この所得控除について、解説していきたいと思います。
目次 ▲
◆所得控除とは
納税は国民の義務であると同時に、国民一人一人が公平な負担になるように設けられております。
国民が納める税金の計算は、売上から経費を引いた所得から、さらに国民一人一人の事情を考慮した所得控除を差し引いて計算されます。
例えば同じ年収のサラリーマンが2人いたとします。
Aさんは独身であり、Bさんは配偶者と子供1人と仮定します。
同じ年収の2人ではありますが、同じ税金を納めるのは公平な負担と考えられるでしょうか。
Aさんは独身なので、生活費は少なく済みます。
一方で、Bさんは配偶者と子供の食費や教育費などもかかってきてしまうため、Aさんに比べて自由なお金は手元に残りません。
そういった場合に、Bさんには税金を安く抑えることのできる税制優遇が設定されております。
この税制優遇のことを所得控除といいます。
所得控除の種類は全部で14種類あります。
以下ではこの14種類の所得控除について、解説していきます。
◆14種類の所得控除について
14種類の所得控除は大きく物的控除と人的控除の2種類に分けることが出来ます。
物的控除とは社会政策的な配慮による所得控除であり、人的控除とは個人的事情への配慮による所得控除になります。
〇物的控除
・雑損控除について
雑損控除とは、通常生活する上で必要な家財や現金などの生活用資産について、災害や盗難などが発生し、その資産に損害を受けた場合にその資産の原状回復などをするためにやむを得ない支出をした場合に受ける事のできるものとなります。
・医療費控除について
医療費控除とは、本人やその本人と生活を共にする家族などの為に医師へ支払う診療代や治療のための医薬品の購入代が一定額以上超過した場合に受ける事のできるものとなります。
・社会保険料控除について
本人やその本人と生活を共にする家族などが負担すべき社会保険料を支払ったまたは給料から控除された場合には、その支払ったまたは控除された金額に対して受ける事のできるものとなります。
・小規模企業共済等掛金控除について
本人が、小規模企業共済等掛金や確定拠出型年金法に規定する個人型年金の掛け金を支払った場合に受ける事のできるものとなります。
・生命保険料控除について
本人が、一般の生命保険契約や個人年金保険契約等、介護医療保険契約等の保険料または掛金を支払った場合に受ける事のできるものとなります。
・地震保険料控除について
平成18年度の税制改正により、損害保険料控除が廃止され、地震保険料控除が新たに設けられました。平成19年分以後の所得税については、損害保険契約等のうち、地震損害部分の保険料を支払った場合に適用を受ける事ができます。
・寄付金控除について
2,000円を超える国または地方公共団体に対する寄付や日本赤十字社など特定公益増進法人に対する寄付をした場合に受ける事のできるものとなります。
〇人的控除
・障害者控除について
本人または配偶者控除の適用を受けられる配偶者や扶養親族が障害者や特別障害者である場合に受ける事のできるものとなります。
なお、障害者控除は扶養控除の適用がない16歳未満の扶養親族も対象になります。
・寡婦(寡夫)控除について
配偶者と死別し、または離婚した後に、婚姻していないなど所得税法上の寡婦(寡夫)に該当する場合に受ける事のできるものとなります。
・勤労学生控除について
本人が、幼稚園、小学校、中学校、高校、大学の学生といった勤労学生に該当する場合に受ける事のできるものとなります。
・配偶者控除について
本人の合計所得金額が1,000万円以下であり、本人と生計を一にしている合計所得金額が48万円以下の配偶者がいる場合に受ける事のできるものとなります。
・配偶者特別控除について
本人の合計所得金額が1,000万円以下であり、本人と生計を一にしている合計所得金額が48万円超で133万円以下の配偶者がいる場合に受ける事のできるものとなります。
・扶養控除について
本人に年齢16歳以上の扶養親族がいる場合に受ける事のできるものとなります。
・基礎控除について
本人の合計所得金額に応じて控除額が48万円から16万円の基礎控除額が受けられるものとなります。
◆結論
所得控除とは、各人の事情を加味した公平な税負担を実現するための税制優遇となります。
これらの所得控除を受けるには、必要な手続きがありますので、このような制度を十分活用するために、税制改正には常に理解しておきましょう。