仕事のための身だしなみ費用は経費になる?その境界線とは?
「仕事でお客様と会う機会が多いから、スーツやドレスなどの衣類を経費で落とせるのでは?」と考えたことはありませんか?特に、接客業や営業職、芸能関係のお仕事をされている方は、身だしなみを整えるための費用が必要不可欠だと感じることも多いでしょう。しかし、税務上「身だしなみ費用」が経費として認められる範囲は意外と厳しく決められています。
今回は、「どんな身だしなみ費用が経費になるのか?」、そして**「どこからがNGなのか?」**を分かりやすく解説していきます。
身だしなみ費用はどこまで経費にできる?
結論から言うと、「仕事のために特別に必要とされる衣類や身だしなみの費用」は経費として認められる可能性があります。
例えば、以下のようなケースです。
✅ 会社が貸与する制服・ユニフォーム
→ 企業がスタッフに支給する制服(例えば、飲食店のスタッフ用エプロン、警備員の制服、美容師の専用ユニフォームなど)は、業務上の必要性が明確であるため、経費として認められやすいです。
✅ 業務のための特別な衣装
→ 例えば、ホテルのボーイやバーテンダーが勤務時に着るタキシードや、舞台役者が公演のために用意する特定の衣装など。個人が普段使う目的ではなく、業務のためだけに必要な衣類であれば、経費として計上できる可能性があります。
✅ 特定の職業に必要な服装
→ 芸能人やモデルなど、衣装が仕事の一部として不可欠な職業の場合は、経費として認められることがあります。テレビ出演のために衣装を用意するケースなどがこれに当たります。
経費として認められない身だしなみ費用とは?
一方で、以下のようなケースでは、たとえ仕事のためであっても経費として認められにくいのが実情です。
❌ ビジネススーツや高級な衣類
→ 「商談のために高級ブランドのスーツを新調した」「接待の場にふさわしいドレスを買った」などのケースは、業務で着用することが前提でも、プライベートでも使用できるため、経費にはなりません。例えば、普段着ないようなタキシードを購入した場合でも、接客業務のために着用するのでなければ経費として認められません。
❌ 美容院やメイク代
→ 「第一印象が大事だから」と美容院で髪を整えたり、メイクのために化粧品を購入したりすることもあるかもしれません。しかし、これらは個人の身だしなみの範囲とされ、経費として認められません。
❌ ブランド品の時計やアクセサリー
→ 「取引先に好印象を与えるため」として高級腕時計やアクセサリーを購入した場合も、仕事用だと主張しても経費にはなりません。業務上の必需品ではなく、あくまで個人の所有物とみなされるためです。
「会社のルールがあるからOK」ではない!
「社内で身だしなみ費用を経費にできるルールを作れば大丈夫なのでは?」と思う方もいるかもしれません。しかし、税務上の判断は社内ルールに関係なく行われます。たとえ社内で「身だしなみ費用補助制度」を作ったとしても、それが税務上の経費として認められるかどうかは別の話です。
また、仮に会社が費用を負担した場合でも、従業員に対する給与扱いとして課税される可能性があるため注意が必要です。
では、どのように対応すればいいのか?
身だしなみ費用を経費にできるかどうかの判断基準は、**「業務上の必要性が明確か?」**という点にあります。
✅ ユニフォームや業務上必要な衣装であることを明確にする
✅ 業務以外での使用が難しいものを選ぶ
✅ 社内ルールがあっても、税務上の基準を優先する
もし「この衣装は経費で落とせるのか?」と迷った場合は、事前に税理士などの専門家に相談するのが安心です。
まとめ
- 会社貸与の制服や、業務上特別に必要な衣装は経費になる可能性がある
- ビジネススーツや美容院代、アクセサリーなどはプライベートでも使えるため経費にならない
- 社内ルールで認められていても、税務上は経費として認められないことがある
- 「業務上の必要性が明確かどうか」がポイント!
身だしなみ費用を経費として計上する際には、慎重に判断することが大切です。少しでも不安がある場合は、専門家に相談しながら進めていきましょう。