第5回:動物病院の節税対策の注意点

動物病院を経営していくと、毎年の大きな負担となるのが税金です。
「節税」と聞くと耳触りはよいですが、実際には正しい知識と計画がなければ逆効果になることも多いのが実態です。今回は、動物病院が押さえておくべき節税対策の注意点を解説します。
医療機器と減価償却の活用
動物病院では、高額な医療機器の購入が避けられません。
- レントゲン・エコーなどは数百万円単位の投資
- これらは一括経費ではなく、耐用年数に応じて減価償却
- 開業初期に設備投資が多い場合は、減価償却費で利益を圧縮できる
👉 注意点は、キャッシュフローは先に出ていく点です。「税金は減ったけど現金も減った」にならないよう資金繰りと合わせて考えましょう。
研修費・学会費の取り扱い
獣医師のスキルアップに欠かせない学会や研修への参加費用は、必要経費として計上可能です。
- 学会参加費・旅費・交通費 → 経費にできる
- ただし家族旅行を兼ねた場合などは按分が必要
👉 経費に落とす際は、領収書や日程表を保存しておくことが重要です。
自動車(往診車)の扱い
往診車を所有する場合は、車両費・ガソリン代・保険料を経費にできます。
- 事業専用車両 → 全額経費
- プライベート兼用車両 → 使用割合に応じて按分
👉 車両購入時の減価償却と、維持費の毎月の経費を分けて考える必要があります。
法人化のタイミング
個人開業の場合、利益が増えてくると法人化による節税メリットが出てきます。
- 所得税の最高税率は55%(住民税含む)
- 法人税率はおおむね23%程度
- 所得分散(役員報酬・家族給与)による節税が可能
👉 ただし法人化には社会保険加入義務や事務負担増も伴うため、「節税効果>負担増」かどうかを検討することが大切です。
節税でやってはいけないこと
「節税」をうたった不動産投資や保険商品など、過度な節税スキームには注意が必要です。
- 一時的に経費になるが、将来のキャッシュフローを圧迫
- 税務調査で否認されるリスクも
👉 動物病院の節税は、日常的な経費処理と資金繰りの最適化が基本です。派手な節税より「正しい経理+堅実な投資」を優先しましょう。
まとめ
動物病院の節税対策は、医療機器の減価償却、学会費や往診車の経費処理、法人化の検討など、実務に即した方法を地道に行うのがベストです。節税だけを目的にした無理な投資は避け、税理士と相談しながら長期的な視点で計画しましょう。