役員社宅の家賃はいくら払えばいい?適正賃料の計算方法を税理士が解説
「社宅として会社に家賃を払っているけど、金額はいくらでもいいの?」
こんな疑問を持っている経営者・役員の方は少なくありません。社宅は上手に活用すれば会社と役員の双方にメリットがある制度ですが、家賃の設定を誤ると税務上の問題が生じることがあります。
ポイントは「適正な賃料(通称:賃料相当額)」を役員が会社に払っているかどうかです。
なぜ家賃の金額が重要なのか
会社が物件を借りて役員に貸す場合、役員が会社に払う家賃が適正額を下回っていると、その差額が役員への「給与」とみなされます。給与とみなされると所得税・住民税の対象になるため、節税のつもりが逆効果になりかねません。
逆に適正な賃料をきちんと払っていれば、会社が支払う家賃(大家への支払い)を全額経費にでき、役員側も給与課税を受けません。会社・役員ともにメリットを得られる仕組みです。
適正賃料(賃料相当額)の計算方法
適正賃料は税法上の計算式で求めます。計算式は建物の床面積によって「小規模住宅」と「それ以外」で異なります。
① 小規模住宅の場合
床面積が木造132㎡以下、木造以外99㎡以下の住宅が対象です。多くの役員社宅はこちらに該当します。
賃料相当額は以下の3つの合計です。
- その年度の建物の固定資産税課税標準額 × 0.2%
- 12円 × 建物の総床面積(㎡)÷ 3.3
- その年度の敷地の固定資産税課税標準額 × 0.22%
計算に必要な固定資産税課税標準額は、毎年4〜6月頃に送られてくる固定資産税の納税通知書で確認できます。賃貸物件の場合は大家さんに確認するか、市区町村の窓口で取得することもできます。
② 小規模住宅以外(豪華社宅を除く)の場合
床面積が上記を超える物件の場合は、計算式が異なります。
- 建物の固定資産税課税標準額 × 12% ÷ 12(月額)
- 敷地の固定資産税課税標準額 × 6% ÷ 12(月額)
この合計額が賃料相当額になります。小規模住宅より高めの金額になることが多いため、注意が必要です。
③ 豪華社宅の場合
床面積240㎡を超えるような高級物件や、プール・テニスコートなど豪華な設備がある場合は「豪華社宅」とみなされ、上記の計算式は使えません。この場合は実際の市場賃料(時価)を基準にする必要があります。
実際にいくらになるか?
たとえば木造以外・床面積80㎡(小規模住宅に該当)の賃貸マンションで、固定資産税課税標準額が建物500万円・土地300万円だった場合、計算はこうなります。
- 建物:500万円 × 0.2% = 1万円
- 床面積:12円 × 80㎡ ÷ 3.3 ≒ 291円
- 土地:300万円 × 0.22% = 6,600円
合計:月額約16,891円
市場賃料が月20万円の物件でも、計算上の賃料相当額は1〜2万円台になることが多いです。つまり、会社が20万円の家賃を払い、役員は2万円を会社に払う。差額の18万円分が会社の経費になり、役員への給与課税も発生しない、という仕組みです。
よくある間違い
「家賃の半分を払えばいい」は誤り
ネットで「家賃の半分を払えばいい」という情報を見かけることがあります。しかし税法上の適正賃料は固定資産税課税標準額をもとに計算するものであり、「市場賃料の半分」という基準はありません。この方法で設定すると、適正額を上回る家賃を払っていることになり、余分なコストを負担することになります。
固定資産税評価額を使ってしまう
計算に使うのは「固定資産税課税標準額」であり、「固定資産税評価額」ではありません。似た言葉ですが別物です。納税通知書の記載をよく確認しましょう。
まとめ
役員社宅の適正賃料は、固定資産税課税標準額をもとに計算した賃料相当額以上を会社に払えばOKです。計算式さえ押さえておけば、会社・役員ともに税務上のメリットを最大限に活用できます。
「うちの社宅の適正賃料はいくらになるの?」とお悩みの場合は、固定資産税の納税通知書をお手元にご用意のうえ、お気軽にご相談ください。
