設備投資を考えている免税事業者の方へ。インボイス登録のタイミングで消費税の負担が大きく変わります
「そろそろインボイス登録しようと思っているんですが、その前に車と機材を買っておこうかと…」
免税事業者の方からこんな相談を受けることがあります。実はこれ、順番を間違えると消費税分を丸ごと損する可能性があります。
結論からいうと、インボイス登録を予定しているなら、大きな設備投資は登録後(課税事業者になってから)に行う方が有利になるケースが多いです。その理由を解説します。
免税事業者は支払った消費税を取り戻せない
事業者が設備investment(車・機械・パソコン・内装工事など)を行うと、本体価格に加えて消費税を支払います。たとえば税込1,100万円の設備なら、100万円は消費税です。
課税事業者であれば、この支払った消費税は「仕入税額控除」として、売上で預かった消費税から差し引くことができます。設備投資が大きい年は、預かった消費税より支払った消費税の方が多くなり、還付を受けられることもあります。
一方、免税事業者は消費税の申告をしないため、支払った消費税を取り戻す手段がありません。支払った100万円はそのままコストになります。
インボイス登録の前後で何が変わるか
具体例で比較してみましょう。
ケース:税込1,100万円(うち消費税100万円)の設備を購入する場合
免税事業者のうちに購入した場合、消費税100万円は取り戻せません。設備の取得価額に含めて減価償却していくことになります。
インボイス登録して課税事業者になってから購入した場合、消費税100万円は仕入税額控除の対象になります。売上で預かった消費税から差し引け、控除しきれなければ還付を受けられる可能性もあります。
同じ買い物なのに、タイミングだけで100万円の差が生まれる可能性があるということです。
注意:2割特例を使うと仕入税額控除が使えない
ここで重要な注意点があります。
免税事業者からインボイス登録した場合、納税額を「売上で預かった消費税の2割」にできる2割特例という負担軽減措置があります。事務負担が軽く納税額も少なく済むため、多くの登録事業者がこの特例を使っています。
しかし2割特例は売上ベースで納税額を計算する仕組みのため、**設備投資でいくら消費税を払っても納税額は変わりません。**つまり仕入税額控除の恩恵を受けられないのです。
設備投資が大きい年は、2割特例ではなく本則課税を選択することで、仕入税額控除や還付を受けられます。2割特例と本則課税は申告時に有利な方を選べるため、設備投資をした年は必ず両方を比較しましょう。
簡易課税を選んでいる場合も注意
簡易課税制度を選択している場合も、2割特例と同様に売上ベースで納税額を計算するため、設備投資の消費税は控除できません。
さらに簡易課税は一度選択すると2年間は本則課税に戻れないという縛りがあります。大きな設備投資の予定がある方は、簡易課税の選択は慎重に判断する必要があります。
高額な設備投資には「3年縛り」がある
もうひとつ知っておきたいのが、高額特定資産のルールです。
税抜1,000万円以上の設備(高額特定資産)を本則課税で購入した場合、その後3年間は免税事業者に戻ったり簡易課税を選択したりすることができません。
「還付を受けてすぐ免税に戻る」という行為を防ぐためのルールです。大型の設備投資をする場合は、その後3年間の消費税シミュレーションもセットで考える必要があります。
まとめ:設備投資とインボイス登録の順番
整理するとポイントは3つです。
インボイス登録を予定しているなら、大きな設備投資は登録後に行う方が消費税分有利になる可能性が高いです。設備投資をした年は2割特例ではなく本則課税を選択することで仕入税額控除・還付が受けられます。税抜1,000万円以上の設備投資には3年縛りがあるため、購入後の納税シミュレーションまで含めた計画が必要です。
設備投資の金額やタイミングによって最適な選択は変わります。「うちの場合はどうなる?」という方は、購入前にぜひご相談ください。
